老後資金2000万円問題をご存知の方も多いと思います。
金融庁の報告書で「老後が20~30年続くと、公的年金以外の老後資金が1,300~2,000万円不足する」と記載されていることが、ニュースで大々的に報じられた記憶のある方もいらっしゃると思います。
今回のリリーフコーポレーションブログでは、セカンドライフを豊かに過ごすための老後資金計画として、どのくらいの資金を準備すればいいのか?老後資金をどのように貯めればいいのか?について解説していきます。
老後資金に漠然とした不安を覚えている方や、これから老後資金を貯めていきたいと考えている方は、ぜひご一読ください。
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老後(セカンドライフ)資金とは?
「老後」が何を指すかは人によって異なりますが、経済的には公的年金や貯蓄を生活資金として使うようになる時期を指すことが多いです。
例えば、60歳以上を老後とした場合において、60歳時点での平均寿命は男性23.84年、女性29.04年となります(厚生労働省「平成20年簡易生命表」より)。
60歳から老後とした場合の期間は非常に長く、このような長い「老後」期間を快適に送るためには、公的年金だけでは足りないことが各方面で予想されています。
快適なセカンドライフを送るためには、公的年金だけでなく自助努力や退職金が不可欠です。
老後生活は9割近くの人が不安を抱えています
私的年金や退職金が注目されるようになった社会的な理由としては、加速する高齢化により、年金制度を支える現役世代が減少し、今後も年金支給額の減少が見込まれることが挙げられます。
生命保険文化センターの「平成28年度 生命保険に関する調査」によると、88.4%もの女性が老後に不安を覚えていることがわかりました。
では不安とは無縁の、余裕のあるセカンドライフを送るためには、どのくらいのお金が必要でしょうか?
考えてみましょう。
老後資金計画で必要な金額はどれくらい?
結論:およそ3,400万円必要です
平均的な高齢者夫婦世帯では、月あたりおよそ4万円が不足していると言われています。
快適なセカンドライフを送るためには、それなりに多くのお金が必要なんですね。
老後資金計画の内訳
【生活資金】
食費や生活費を含めた日常生活費の平均は30万円です。
ただし、80歳以上になると要介護率が急激に上昇するため、日常生活費の比率が変わります。
60歳から79歳までの元気な時期に旅行や趣味を楽しみたい場合は、これらの活動に必要な資金を多めに見積もっておく必要があるでしょう。
また、生活資金といっても日常生活の費用だけではありません。
例えば、子供がいる場合は
- 子供の結婚
- 孫の誕生
- 新居の購入
などのライフイベントに伴い、親としての費用が必要になることがあります。
【入院、手術費用】
35歳から64歳までの平均在院日数は24.4日です。
75歳以上になると47.6日…およそ2倍に跳ね上がります。
75歳以上の場合、1回の入院にかかる費用の目安は約50万円+αです。
入院や手術にかかる費用は、病気の種類によって大きく異なります。
全日本病院協会によると、2018年度の一入院の平均費用の一例として以下のデータがあります。
入院病名 | 入院の平均費用 | 3割自己負担額 |
急性心筋梗塞 | 178万4,414円 | 約53万5,324円 |
脳梗塞 | 154万2,822円 | 約46万2,846円 |
肺炎 | 72万3,499円 | 約21万7,049円 |
実際には、高額療養費制度があるため、それほど大きな負担にはなりません。
ただし、入院日が1ヶ月以上に及ぶ場合は2ヶ月分の自己負担が必要になるので、負担は小さくありません。
【介護費用】
80歳以上になると要介護・要支援の方がふえてきます。
厚生労働省の2016年のデータによると、80~84歳の28.4%、85歳以上の59.1%の人が要介護・要支援状態にあるとされています。
介護費用は、介護が必要となる年齢や所得、介護認定のレベル(在宅・施設、要支援1~2、要介護1~5)などによって大きく異なります。
要支援1 | 要介護認定等基準時間が25分以上32分未満又はこれに相当すると認められる状態 |
---|---|
要支援2 要介護1 |
要介護認定等基準時間が32分以上50分未満又はこれに相当すると認められる状態 |
要介護2 | 要介護認定等基準時間が50分以上70分未満又はこれに相当すると認められる状態 |
要介護3 | 要介護認定等基準時間が70分以上90分未満又はこれに相当すると認められる状態 |
要介護4 | 要介護認定等基準時間が90分以上110分未満又はこれに相当すると認められる状態 |
要介護5 | 要介護認定等基準時間が110分以上又はこれに相当すると認められる状態 |
高額療養費制度と同様に、介護費用の一部を高額介護サービス費として支給する制度がありますが、毎月の負担がゼロになるわけではありません。
高額介護サービス費制度を利用した場合でも、所得に応じて月々1.5万円~5万円の負担が必要となります。
【がん治療費用】
公益財団法人がん研究会が発表した「がん統計’16」によると、一生のうちにがんと診断される確率(がん罹患累積リスク)は、男性61.6%、女性46.2%と、約2人に1人の割合となっています。
がんと診断されると、手術や入院の費用だけでなくその後の治療費も必要になります。
例えば大腸がんで、大腸切除後に化学療法(抗がん剤治療)を受けた場合、
- 初年度の医療費総額は約282万円
- 3割自己負担の場合は約85万円
- 高額療養費(食事代含む)適用後の自己負担額は約56万円
と試算されます。
【先進医療技術料】
先進医療技術料は、保険診療と併用することが厚生労働大臣によって認められている最先端の医療技術の費用です。
効果の高い治療が期待できますが、技術料は全額自己負担となり、かなり高額となります。
例えば、がん治療のための「重粒子線治療」や「陽子線治療」、白内障治療のための「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」などが先端医療技術の一例です。
※「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」は2020年4月、厚生労働省の定める「先進医療」から削除されました。
これらの先端医療技術の平均技術料は、
- 重粒子線治療が約300万円
- 陽子線治療が約270万円
- 多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術が約70万円
です。
先進医療の例
先進医療技術 | 技術料(1件当たり平均額) | 平均入院期間 | 年間実施件数 |
---|---|---|---|
高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術 | 302,852円 | 11.4日 | 147件 |
陽子線治療 | 2,697,658円 | 19.8日 | 1,295件 |
重粒子線治療 | 3,089,343円 | 9.6日 | 720件 |
MRI撮影及び超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検法 | 107,661円 | 2.5日 | 821件 |
多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術 ※2020年4月1日より、先進医療から削除。 |
678,497円 | 1.1日 | 33,868件 |
歯周外科治療におけるバイオ・リジェネレーション法 ※2020年4月1日より、先進医療から削除。 |
60,065円 | – | 56件 |
【死後清算費用】
死後の費用とは、故人の死後に相続人が負担する費用のことで、葬儀費用や入院費用、新しいお墓の購入費用などがあります。
葬儀費用の平均は約200万円、入院費用は高額療養費適用後の自己負担限度額から、年収370万円未満の人の場合は月におよそ5万円と試算されています。
ここまで、老後にゆとりある生活を送るために必要な金額とその内訳についてご紹介しました。
老後にまとまったお金を準備するためには、できるだけ早い時期に資産を形成しておくことが大切だということがお分かりかと思います。
年金について
老後に備えるためには、まず公的年金制度を理解して不足分を自助努力でカバーすることを知っておくことが大切です。
さらに、退職後の支出を細かく試算しておくことも老後資金計画を立てる上では重要です。
まず、老後における生活資金源となる年金について見ていきましょう。
ここでは、公的年金と自助努力について説明します。
日本の公的年金制度は「2階建て」と言われており、第1階部分が基礎年金、第2階部分が厚生年金となっています。
それぞれを簡単に説明すると以下のようになります。
・基礎年金…国民年金で支払われる年金
・厚生年金…厚生年金で支払われる年金
日本の公的年金制度の特徴は、老齢基礎年金と老齢厚生年金の「2階建て」だということです。
①あなたの公的年金はいくらもらえるのか?把握しましょう
自分の公的年金をいくら受け取れるのかをきちんと把握しておく必要があります。
自分の年金記録を確認するには2つの方法があります。“ねんきん定期便“と “ねんきんネット”で、自分がどれだけ年金を払ったかを確認することができます。
現在の年金支払予定額を確認する方法として「ねんきんネット」が非常に便利なので、登録しておくとよいでしょう。
②定年後から年金支給開始までの期間、生活費をどうやって工面するのか考えておきましょう
年金は65歳から支給されます。
退職してから年金が支給されるまでの間の生活費をどう工面するのか早めに考えておきましょう。
60歳で退職してから65歳になるまでは、再就職などで補うことになります。
65歳以降は老齢基礎年金と老齢厚生年金で生計を立てていくことになります。
多くの場合において、現役時代の可処分所得より手取り額が少なくなりますので、この差額をなんとかして埋める必要があります。
個人年金・私的年金の種類
【確定給付企業年金】
企業年金基金または企業自身が年金資産を運用し、従業員に給付を約束する年金制度です。
【厚生年金基金】
企業や業界団体が政府の承認を得て設立した厚生年金基金が、年金資産を運用し、従業員に約束された給付を行う年金制度です。
法改正により存続基準が厳格化され、2016年4月からは基金の解散や確定給付企業年金への移行が奨励されています。
【確定拠出年金】
会社と従業員が掛け金を拠出し、個々の従業員が運用判断を行い、掛け金と運用益の合計が給付額となる年金制度です。
自営業者などで厚生年金に加入していない場合は、個人型確定拠出年金(iDeCo)があります。
運用次第では、当時の予想よりも低い金額での支給となる場合があるので留意しておきましょう。
【退職金】
サラリーマンが退職する際に支払われる「退職一時金」のことです。
会社によって金額は大きく異なりますが、最終学歴+在職期間+役職などの要素で決定されます。
【生命保険】
被保険者が保険証券に記載された一定の事由(死亡、高度障害など)に該当した場合に受け取ることができる保険商品です。
被保険者が死亡した場合に、葬儀費用や入院費用の清算、墓地の確保などに必要な金額を補う手段として利用できます。
【個人年金保険】
保険商品の一種で、一定期間保険料を支払うことで一定の年齢から保険金を受け取ることができる商品のことです。
個人年金保険の中には所得控除できるものもあります。
老後資金の資産・収入と支出を把握して計画しましょう
これまで説明してきた公的年金制度や個人年金などによる老後の収入を計画することも大切です。
さらにより良い老後資金計画を立てるために、現在所有している資産や、現在~退職後の支出を整理しておくとよいでしょう。
整理すべき主な資産と支出の例を以下に記載しました。
【主な資産と収入】 | 主な支出 |
預貯金 | 住宅費(家賃、住宅ローンの残債) |
配当収入 | 住宅維持費(管理費、住宅改修費) |
退職金 | 食費 |
民間保険 | 光熱費 |
相続資産 | 税金 |
社会保険給付 | 社会保険料 |
不動産収入 | 介護・医療費 |
民間保険料 | |
交通費 | |
娯楽費(理美容を含む) | |
子・孫への教育資金といった提供資金 |
老後資金計画のまとめ
主な資産と収入を整理する際に気をつけたいのが、不動産(土地・建物)や有価証券など、状況によって評価額が異なる資産の多さです。
不動産や有価証券については、購入時の価格ではなく、その資産を確認する時点での評価額を調べて記載するようにしましょう。
特に持ち家の場合は、新築時の価格と現在の価格に大きな差がある場合がほとんどです。
また、大きな消費支出については、まず現在の家計を整理し、何にどれだけ使っているかを明らかにすることから始めましょう。
現在の家計の支出を把握した上で、食費や子供の学費、保険料など、将来的に負担がなくなるものや減るものと、ふえる可能性のあるもの(医療費など)を考えて、定年後の消費支出を試算します。
老後の消費支出を試算したら、収入と支出の関係を確認し、足りない分をどう補うかを考えます。
このように、自分のセカンドライフを現実的に見つめることで、今後どのような対策をとるべきかが見えてくるのです。
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