セカンドライフの生活を支える収入の柱といえば公的年金。

2021年現在、公的年金の支給開始年齢は原則65歳です。

しかし、60歳を過ぎると本人の希望で支給開始年齢を早めに繰り上げたり、逆に繰り下げることもできます。

繰り上げで受給すると受け取り年額は減りますが、繰り下げで受給すると逆に増えます。

受給開始の時期は自分で決めることができますが、2022年4月からはこの制度が少し変更になります。

変更後の制度、どう活用するのが一番おトクでしょうか。

 

2022年から変わるのは受給開始年齢の繰り下げ可能期間

変更されたのは繰り下げ可能な期間です。

変更前は70歳まででしたが、変更後は75歳までになりました。 

受給を遅らせるとその期間(月数)に応じて年間受給額が増えていきます。

加算金額は

繰り下げ月数 × 0.7% × 老齢基礎年金(年額)

で計算されます。

仮に国民年金だけの人が75歳まで受給を繰り下げるとして計算してみます。

65歳から75歳までは120ヶ月です。

2021年の老齢基礎年金の年額は780,900円ですので、

120×0.7%×780,900円=655,956円

これが加算される金額です。つまり、年額は

780,900円+655,956円=1,436,856円

となります。

 

繰り下げのデメリット

こうして見ると繰り下げはお得に感じますが、繰り下げている間は年金収入がゼロです。

受給開始までは公的年金以外の方法で生活費を確保しなければなりません。

また、思ったより早く死亡したら、受け取り総額が少なくなります。

 

平均余命はどれくらい?

自分が何歳で死ぬのかは、もちろん分かりませんが、今の年齢からあとどれくらい生きられそうなのかという数値は、「平均余命(へいきんよみょう)」と呼ばれており、厚生労働省が公開しています。

令和元年の年齢 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75
男性 平均余命(男性) 52.03 47.18 42.35 37.57 32.89 28.34 23.97 19.83 15.96 12.41
希望生存年齢 82.0 82.2 82.4 82.6 82.9 83.3 84.0 84.8 86.0 87.4
女性 平均余命(女性) 57.91 53 48.11 43.26 38.49 33.79 29.17 24.63 20.21 15.97
希望生存年齢 87.9 88.0 88.1 88.3 88.5 88.8 89.2 89.6 90.2 91.0

厚生労働省:令和元年簡易生命表の概況より作成

また、受給を繰り下げた場合、65歳に受給を開始したときと比較した損益分岐点は受給開始から11〜12年後になります。平均的に生きられるとすれば、どの年齢で受給開始しても損をするということはあまり無いようです。

 

注意したいこと

金額を見ると、いつ受給を開始しても大差ないのですが、注意したいことがあります。

それは、年をとると体力も落ちて医療や介護にかかるお金も増えていくということです。

若いうちにはできていた家事も人に頼まなければいけなくなるかもしれません。

一方で、仕事の場はぐっと限られてきてしまい、収入を増やすのは難しくなります。

従って、生きている限り支給される公的年金の増額は良い備えになります。

繰り下げは今からでも実行できる簡単かつ有効な方法です。

 

まとめ

2022年から公的年金の支給開始を最大で75歳まで繰り下げることが出来るようになります。

繰り下げた分、支給開始までは他の方法で生活費を確保する必要があります。

しかし、年金増額は、老後の生活資金を確保する上で大きな支えになります。

仕事や家事が難しくなり、医療や介護にお金が必要となる時期を見越して、年金受給開始を繰り下げておけば、年額で最大65万円も年金を増額できます。

長生きをリスクにしない為にも、元気なうちは長く働いて、年金の受給開始を繰り下げることも考えてみてはいかがでしょうか。